離婚成立

 夫の暴力と不倫が原因で10年間別居、この段階で決着をつけたいという事例

 

 依頼主  40代  女性(C子さん)
    

相談前
   C子さんは、23才で結婚し、長男長女をもうけたが、31才のとき、子ども2人を連れて実家に帰り別居。別居の原因は、殴る、蹴る、怒鳴るなどの長年にわたる身体的・精神的暴力と不倫。10年間の別居中、夫は養育費・生活費を出さない、働きに出たC子さんの収入だけでは足りない。そのため、両親が老後の資金を取り崩ずしながら援助しているが、それも限界にきている。

また夫は、長男の引き渡しを要求し、電話はしょっちゅう、ときには夜実家にズカズカと上がり込んできてなかなか帰らないが、暴力が怖いため、強く出られない。長男の親権者が決まらないため、離婚の話も進まない。なんとか解決できないか。

 

相談後
   高原弁護士は、保護命令の申立までは必要ないと判断し、家裁に離婚・親権・養育費・慰謝料の支払いを求める調停を申し立てること、弁護士費用は法テラスを利用することを選択。C子さんも了解。

 問題は、夫の収入・資力。別居前は、父親の仕事を手伝い、それなりに羽振りがよかったが、市から市県民税の納税証明書を取り寄せたら、前年の給与収入が120万円詳細は不明。調停では無職と主張。

 

  結局、3回の調停で、養育費は棚上げし、離婚すること、長男長女の親権者をC子さんとする調停を成立させることができた。その後、養育費のみの調停を別途申し立てたが、もと夫はなかなかその支払に応じず、3回目の調停で審判に移行。裁判所はC子さんの年収が214万円であること、もと夫の年収を300万円程度と推認できること、長男が中2、長女が小4であることをベースに、標準的算定方式及びこれに基づく算定表(判例タイムズ1111285頁以下)により、子ども1人の養育費を月額1万5000円と認定した。

 もと夫は、現在まで、申立時以降の未払分の養育費15万円と審判以降の養育費計月額3万円を支払い済み。

 

高原弁護士からのコメント

 調停申立後、夫からの電話や実家への乗り込みは、ピタッと止まりましたし、離婚と親権の確保ができました。市から児童扶養手当を受けることもできました。しかし、慰謝料の請求は事実上断念。養育費の額も充分ではありませんが、夫の収入が正確に把握できず、実際にも、少額である以上、これ以上は無理だったと思います。

 

 

夫婦関係が修復

 

夫からの精神的虐待等で破綻しかけていた夫婦が仲裁センターでの話し合いによって、関係が修復した事例

    依頼主   30代   女性

 

相談前

 私(依頼主)は、10数年前に結婚し、以後専業主婦。夫婦と小4の息子との3人暮らし。

会社員の夫は、1000万近い年収あり。ところが、夫は「見下す、欠点をあげる、性別による役割を決めつける、自分の意見を押しつける」などの精神的暴力や「支出を細かく監視する」などの経済的暴力がひどく、私は現在精神科に通院中。そこで一刻も早く別居し経済的に自立するため資格を取りたいのですが、別居後の生活費の金額について話し合いができません。どうしたらよいでしょうか。

相談後

 相手方(夫)に連絡したところ、相手方に弁護士がつき強硬な主張の繰り返し。そこで、弁護士会の仲裁センターに申し立て、別席での話し合い希望するとともに、精神科医による詳細な診断書を提出。またこのままでは離婚にまで発展してしまうが、当方は、離婚を望んでいないことを強調。その結果、約1ヶ月間計3回の仲裁によって、和解が成立した。その後依頼主は、いったん別居したものの、1・2ヵ月後に親子3人での生活を取り戻した。

 

高原弁護士からのコメント

  仲裁では、仲裁人弁護士から相手方に対し、「妻の人格を尊重し、人生の対等なパートナーとして接すること、今は妻の精神状態を改善することが急務であること、そうでなければ2人とも望んでいない離婚にまで発展すること」を伝えていただき、依頼主には、「お互いが自己主張ばかりを繰り返すのではなく、相手方に感謝の気持ちを持ち、それを言葉で伝えること、それも、生活の知恵として必要なこと」を助言しました。弁護士のところにまできた夫婦関係が修復することは、あまりありませんが、仲裁人弁護士の仲立ちによって、それが実現でき、安堵しております。

 

娘が性被害

  

 娘を連れて再婚したが、その娘が再婚相手の夫からたびたび強制わいせつの被害を受けていたことが判明し、母娘の苦闘がはじまった。本件は、弁護士がこの母娘を微力ながら支援させていただいた事例

  依頼主  40代   女性

 

相談前

  依頼主は、娘=A子さん・中3、母=B子さん・40代女性。B子さんは、再婚後3人の子をもうけ、A子さんと夫は養子縁組をしている。ところが、B子さんは、数日前A子さんから性被害の事実を打ち明けられ、子ども全員を連れて実家に帰り、離婚離縁と警察へ被害届を出すことを決断しておられる。またA子さんの持病アスペルガー症候群が性被害によって相当悪化している。

相談後

  支援メニューは、次のとおりです。①警察への告訴状の提出と付き添い、②家裁への離婚・離縁の調停申立、③精神科医の紹介、④夫からの調停(面会交流等)に対する対応、⑤法テラスの利用(犯罪被害者支援と民事法律扶助)。

警察への告訴後、A子さんの事情聴取もなんとか終わり、事件が検察庁へ送検された頃、夫の弁護士から、和解の申し入れがあった。離婚離縁には応じるし、実子3人への養育料も支払うから、告訴を取り下げて欲しいとのこと。当時夫は犯行を否認していたため、刑事裁判ではA子さんも証言する必要があるし、離婚離縁の裁判でも性被害の立証をする必要があり、A子さんがこれらに耐えられるか危惧されたため、この和解をうけいれた。そのため慰謝料請求は断念し養育費に重点を移した。また夫と実子3人との面会交流は、NPO法人の付き添い型援助を受ける方法で決着した。

高原弁護士からのコメント

  その時その時、依頼主の心情と自己決定を尊重、最善の選択を模索してきましたが、A子さんの症状の改善見はられず、高校も中退し、現在どうすれば社会生活へ適応できるのか、母娘とも苦しんでおられる。この点では、何のお手伝いもできず、申し訳ない気持ちで一杯です。         

 

不倫

勤務先の上司との不倫を理由に慰謝料を請求されたが、和解で解決できた事例

  依頼主   20代   女性

相談前

 勤務先の上司の妻から不倫を理由に慰謝料300万円を支払えとの内容証明郵便が届きました。上司は最近離婚調停を申し立て、財産分与と養育費を払うことで調停が成立したようです。私は上司からの離婚の相談にはのっていましたが、肉体関係はありません。どうしたらよいでしょうか。

相談後

 取り敢えず、弁護士名で不倫行為は無い旨の内容証明を出しましたが、300万円と弁護士費用30万円を払えとの裁判に発展しました。不倫行為は、一泊2日の旅行、旅行先での写真(探偵社による、ホテルに2人でチェクインする様子、エレベーター内でのキスシーンなど)が証拠として提出されました。当方では、不倫を否定するとともに、仮にその行為があったとしても、その時点では夫婦関係が破綻していたことを強調、結果、3回目の裁判で、解決金125万円を一括支払うことで和解が成立しました。。

高原弁護士からのコメント

 この種の裁判では、不倫の内容・程度をどこまで主張できるか、その証拠をどこまで出せるかが、キーポイントになります。本件は、まずまずの結果ではないかと思っております。