DV被害の解決

DV被害で、保護命令と離婚・親権を勝ち取った事例

         依頼主  30代  女性

  

相談前

 数年前に結婚し2才の男の子がおりますが、夫のDVがひどく、2週間前に子どもを連れて実家に帰りました。夫は会社を自営し収入もかなりありますが、万事自己中心的で感情にムラがあり、髪の毛1本落ちていても家事を放棄していると決めつけ、「くそおなご」「ぶっ殺す」などと私を罵ったり脅しながら、髪を引っ張ったり、顔を拳や平手で殴ったり、子どもを抱えて守っている私の背中を踏みつけるなどの暴力を受け続けてきました。

 別居後は、ラインで「子どもを渡せ」と要求し、実家にも押しかけてきますので、怖くてたまりません。一刻も早くこの恐怖から脱却して経済的に自立し子育てに専念したいのですが、どうしたらよいでしょうか。

 

 

相談後

 当初の相談時に、①地方裁判所に対する保護命令の申立と②家庭裁判所に対する離婚調停の申立を受任し(弁護士費用は法テラスを活用)、直ちに保護命令申立の準備に取り掛かり、3週間後に、6か月間の接近禁止を中心とする保護命令を得ました(途中、夫側にも弁護士がついたので、その主張立証のため、命令が出るのが1週間程遅れましたが、逆に弁護士がついたことによって夫からの攻撃に対する恐怖心は軽減しました)

 保護命令後直ちに、離婚、親権は母親、養育料・慰謝料を支払うことを内容とする調停を申立て、4回目の期日で調停が成立しました。高原弁護士も調停委員も相手方が養育料を支払うのは当然と考えていましたが、依頼主が早期解決を強く希望したため、離婚と親権者母親を内容とする調停となりました。

 その後保護命令後6か月が過ぎたため、相手方から子どもとの面会交流の調停が出されましたが、数回の期日と家裁調査官による調査を経て、母親の恐怖心が深く面会交流が実施されれば、子の健全育成に悪影響を及ぼすという理由で、面会はしないという調停が成立しました。ほぼ、ご依頼に沿った解決ができたと思います。

 

 

高原弁護士からのコメント

 DVの被害者が弁護士のところへ相談に来られた時には、多くの場合、事態は相当に深刻で、被害者はひどく傷ついておられます。また、当然のことながら、不安、恐怖などでかなり主観的感情的になっておられます。そこで、まず、簡潔でポイントを絞った説明をしたうえ、被害状況を書いたメモの作成をお願いしております(メモの作成によって、ご自分が置かれている状況を客観的に自覚してもらうこともできます)。そのうえで、何はさておき、保護命令の申立です。その後のことは、被害者の方がご自分の人生を再出発させるために、何が必要なのか、被害者の方と一緒に考え、見つけて行く、将にケースバイケースで、ニーズに応じた解決策=選択をすることが大事です。